民間金融機関は、創業者に対してなかなかお金を貸してくれません。
残念ながら、これは事実です。
しかしながら、金融機関の中には「政府系」と呼ばれる金融機関もあります。そして、そのような金融機関は、産業振興という国の政策を実現する目的で、創業者への融資に積極的だったりするのです。
創業者への融資に積極的な金融機関、それはズバリ「日本政策金融公庫」です。
日本政策金融公庫融資の特徴
日本政策金融公庫は、民間金融機関ではありえない創業者に対する融資を積極的に推進している唯一の金融機関です。
それだけでも十分ありがたいのですが、この他にも以下のような特徴があります。
- 低金利
民間金融機関と比較しても、まずまずの低金利です。 - 固定金利
民間金融機関の融資では変動金利が一般的ですが、日本政策金融公庫の融資は固定金利とされています。景気が上向きになると金利水準も上がりますが、固定金利であれば毎月の弁済額が増えてしまうことはありませんので、資金繰りも難しくなりません。
しかも、ここ数年は低金利時代ですから、このタイミングで固定金利の融資を受けることができることには、大きなメリットがあります。
日本政策金融公庫の創業支援融資制度
日本政策金融公庫は、「小企業金融の担い手」という役割があり、創業者に対しても次のような融資制度を設けています。
(1)新規開業資金
現在お勤めの企業に継続して6年以上お勤めの方または現在お勤めの企業と同じ業種に通算して6年以上お勤めの方などが、その企業と同じ業種の事業を始める際に、開業資金を含めた必要事業資金を貸し付ける制度です。
融資限度額 | 7,200万円(うち運転資金4,800万円) |
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返済期間 | 設備資金15年以内(うち据置期3年以内) 運転資金5年以内(うち据置期間6ヶ月以内) |
金利 | 固定金利 |
保証人・担保 | 応相談 |
(2)女性、若者/シニア起業家支援資金
女性または30歳未満か55歳以上の方で新たに事業を始める方や事業開始後おおむね7年以内の方に対して、創業時を含めた必要事業資金を貸し付ける制度です。
融資限度額 | 7,200万円(うち運転資金4,800万円) |
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返済期間 | 設備資金15年以内(うち据置期2年以内) 運転資金5年以内(うち据置期間1年以内) |
金利 | 固定金利 |
保証人・担保 | 応相談 |
(3)再チャレンジ支援融資
廃業歴のある方が、再び新しい事業を始めようとする際に、創業時を含めた必要事業資金を貸し付ける制度です。
融資限度額 | 7,200万円(うち運転資金4,800万円) |
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返済期間 | 設備資金15年以内(うち据置期3年以内) 運転資金5年以内(うち据置期間1年以内) |
金利 | 固定金利 |
保証人・担保 | 応相談 |
(4)新創業融資制度
上記(1)(2)(3)の融資を利用される方で、新たに事業を始める方、または事業開始後税務申告を2期終えていない方については、創業時を含めた必要事業資金のうち、3,000万円までを無担保、無保証人で貸し付ける制度です。
融資限度額 | 3,000万円(うち運転資金1,500万円) |
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返済期間 | 設備資金15年以内(うち据置期間2年以内) 運転資金5年以内(うち据置期間1年以内) |
金利 | 固定金利 |
保証人・担保 | 不要 |
いずれの制度も融資限度額は高めに設定してありますが、実際の融資実行額は、300~500万円程度となる会社が多いようです。
地方自治体の制度融資
また、都道府県や市区町村といった自治体も同様の目的で、創業者に救いの手を差し伸べるために、金融機関と手を組んで「制度融資」という特別な融資制度を設けています。
つまり、創業者が資金調達をしようと思えば、「日本政策金融公庫」にお願いするか、地域の「制度融資」を当たってみるしかないということにもなります。