トマ・ピケティという経済学者が著した学術書のタイトルです。
728ページもあり、なかなか読破できません。
また、完全な理解すらしていません。
が
無謀にも簡単な説明を。
約15年をかけて収集し、分析をしたデータをベースに研究がされている。
そもそもどんなデータを収集、分析したのか。
それは税務当局の保有するデータです。
そのデータを活用し、富裕層の資本や所得の状況を丸裸にし、
彼らが如何に国民全体の富や所得を独占しているかを明らかにするのです。
(それらのデータは、世界トップ所得データ「WTID」として無料公開してます。)
例えばアメリカ。
上位10%の裕福層が総所得に占めるシェアは、1980年の34%程度から
今や50%近くの水準まで急上昇しています。
そもそも資本主義とはなんぞや。
資本主義は、富や所得の格差が自然と大きくなる構造的矛盾を抱えていると
ピケティ氏は語っております。
二つの世界大戦と累進課税の導入によって一旦は縮小した較差
しかしながら、80年代以降再び拡大し始めます。
このまま放っておけば今世紀中には18~19世紀の欧州のように
相続財産の存在が、残った人間の人生を左右する世襲型の超格差社会が復活します。
この予想が不可避であることをピケティ氏は不等式で表しています。
「r>g」
r = 株や不動産、債権などへの投資による資本収益率
g = 経済成長率
この不等式は何を意味しているのでしょうか。
r = 5% g = 1% と仮定しましょう。
この場合、株・不動産など多くの富を保有する富裕層の方が得なのが明らかです。
投資余力のない平均的労働者がせっせと働いて得られる所得の増分より
5倍も大きなリターンをその保有する富からえられるということになります。
経済成長率が低水準のままなら、労働所得から富を構築することが出来ません。
これでは、富の不平等が時代を超えて固定化されてしまい
私たちが重視する能力主義や機会の平等性が脅かさるということです。
歴史的にみると資本収益率は4~5%で推移してきました。
今の日本の経済成長率は、1.5%ですね。
さくっと流してしましたが、なかなかセンシティブな問題を扱っています。
で、どうやったら解決するの?って疑問が残ります。
ピケティ氏曰く「富(財産)に課税するべきじゃろ」と。
いつぞやの日経でライフネット生命の出口社長はこう言っておりました。
「人生はお金を使ってなんぼなので。
だから自分の意見では、相続税は100%にと言いたいぐらい。
嫌なら血がつながっていてもつながっていなくてもいいんですが、
20~30代の若者に寄付をすればいい。
人間にとって大事なのは次の世代を育てることですので。
お金を残すんだったら、国が吸い上げて税金にすれば良いと」
なかなか含蓄があります。
はたして、富(財産)に課税、出来るでしょうか?
富裕層、既得権益層からの反発は必須。
得票に取りつかれた政治家さん達は「財産税導入しましょう」とは言わないでしょう。
世界各国の経済学者、有識者からは、異論、反論もあります。
しかしながら、労働者たる私から見たらピケティ氏の言い分に一票を投じてしまいますね。