相続について

相続について

Q
相続税がどれくらいになるか、心配でたまらない。
A

相続が発生した際に、相続税のことが気になるというのは当然のことかもしれません。しかしながら、相続を受けた人のうち、相続税を納めなければならなかった人の割合(課税割合)は、長い間、4.4%前後に過ぎませんでした。逆に言えば、95%の方は相続税とは縁がなかったということになります。

ところが、平成27年度の税制改正によって、相続税は大幅に増税基調となり、課税割合は全国平均で、一気に8%まで上昇しています。これを人数で示しますと、平成26年度の相続税課税対象者は5万6千人でしたが、改正後の平成27年度には10万3千人と、およそ2倍にまで増え、東京都に限定しますと、課税割合は15.7%にまで増えています。

このように、相続税はかなり身近なものとなってしまいましたが、そうは言っても、いまだに8割以上の方は相続税と無縁ですから、「相続」と聞いただけで恐れおののく必要は無いと言えます。

それでは、どのくらいの遺産があると相続税の問題が発生するのでしょうか?簡単な目安についてお話ししましょう。

基礎控除

相続税というのは、遺産の総額に対して課税する税金ですが、「基礎控除」といって、遺産総額が一定の規模を下回る場合には、課税されない仕組みとなっています。

この基礎控除額というのは、以下の方法で計算されます。

 基礎控除額 = 3,000万円 + (600万円×法定相続人の数)

例えば、4人家族の父親が亡くなった場合、法定相続人は妻と2人の子供となりますので、法定相続人の数は3名となります。そうしますと、この場合の基礎控除額は、

 3,000万円 + (600万円×3名)=4,800万円

となりますので、遺産の総額がこの範囲に収まるようであれば、相続税の心配はご無用ということになります。

平成27年度の税制改正で、課税割合が増加した最大の理由は、実は、この基礎控除額の40%もの減額にありました。先の例で説明しますと、改正前の基礎控除額は8,000万円もあったわけです。

まあ、とにかく、この基礎控除額を先ず計算してみて、それを上回る遺産があるようでしたら、税理士などの専門家にご相談いただくという順序が良いでしょう。

遺産の総額

基礎控除額の計算が済んだならば、次に遺産の総額を計算してみたいところです。ごく簡単に説明しますと、遺産の種類ごとに値段をつけていくという作業になるわけですが、実際の計算については、非常に細かく複雑なルールがあるため、専門家でないと正確な計算は困難です。

そこで、いくつかの大事なルールを踏まえたうえで、ごく簡易的な計算方法をお教えしましょう。

まず知っておいていただきたいルールは次の3点です。

  • 被相続人(亡くなった方)が居住していた不動産の宅地については、一定の条件を満たせば、評価額を最大80%減額してもらえる。
    (1億円の宅地であっても、居住用の宅地であったならば、評価額は2,000万円とすることができる。)
  • 遺産のうち、葬儀費用に使われた額は遺産から除くことができる。
  • 被相続人に借金があった場合には、その負債総額を遺産の総額から引くことができる。

ところで、遺産の総額はどのように計算するのでしょう?預貯金や借入金のように金額がハッキリしているものは簡単ですが、金額がハッキリしていないものもありますから厄介です。

金額のハッキリしない遺産の代表格が不動産でしょう。実は、相続税では土地や建物の金額を計算する方法が明確に定められています。
 
まず、土地については、全国の主要な道路に「路線価」という評価単価が設定されていて、その路線価に面積を乗じて評価額を計算することとされています。

例えば、路線価が10万円とされた道路に面している120㎡の土地であるならば、

  120㎡×10万円=1,200万円

といった具合です。

もちろん、角地のように2以上の道路に面している場合、土地の形が三角形だったり極めて細長かったり、坂の途中にあるため高低差があったりする場合には、それぞれの事情に応じた評価増や評価減が定められていますし、その土地を居住用としている場合、他人に貸している場合、貸家の敷地にしている場合といった用途に応じた評価方法も定められています。

また、山林や原野のように周辺に路線価が設定されていない場合などもあり、そのような場合の評価方法についてもルールが定められていますが、このような話になりますと、この紙面で語り尽くせるものではありません。

正確な計算は税理士などの専門家に任せることとし、あくまでも簡易的な計算を目安としてください。

相続税額の計算

相続税は遺産の総額に税率を乗じて計算することになりますが、これまでの話をまとめますと、おおむね次のような手順となります。

  • 遺産に値段をつけて合計する。
  • 借金と葬儀費用の金額を引く。
  • 基礎控除額を引く。

上記の3ステップの計算の結果、なお遺産額が残るようであれば、これを課税遺産総額といい、これに対して税率を乗じることになります。

しかしながら、ここでもうひとつ面倒な計算が待っています。実は、相続税率は、所得税と同様に「累進税率」となっており、遺産の額に応じて税率が変わる仕組みとされています。もちろん、遺産が多ければ多いほど税率が高くなっていく仕組みです。

この適用税率の判定について、面倒な計算ルールがあります。それは、

  • いったん法定相続分に従って遺産分割をしたと仮定して、
  • それぞれの相続人の税額を計算し、
  • それを合計して相続税総額を計算し、
  • その相続税総額を実際の遺産分割割合によって按分して、各相続人ひとりひとりの税額を計算する。
  • その後、相続人に固有の税額調整があれば、それらを調整して実際の納税額を計算する。

というものです。読んだだけではわかりにくいですから、事例を使って説明しましょう。

【1】図にも示した通り、この事例の場合の法定相続分は、妻が1/2、2人の子どもがそれぞれ1/4ずつとなりますので、まず最初に、この法定相続分で遺産を分割したものと仮定します。

【2】すると、妻が1億2,000万円、2人の子どもがそれぞれ6,000万円を相続したものと仮定されますので、これにもとづいて相続税を計算します。

妻: 1.5億円 × 40% - 1,700万円 = 3,100万円
子A: 7,500万円 × 30% - 700万円 = 1,550万円
子B: 7,500万円 × 30% - 700万円 = 1,550万円

【3】上記の各相続人の税額を合計したものが、相続税総額となります。

 相続税総額 = 4,300万円 + 1,550万円 + 1,550万円 = 7,400万円

この相続税総額は、実際の遺産分割がどのように行われたとしても、合計の納税額に影響を及ぼすことは無く、仮に子Aが全財産を相続した場合には、子Aが7,400万円の相続税を納めることとなります。

【4】この事例では、実際の遺産分割は相続人全員が1/3ずつとされていますので、7,400万円の1/3、2,466万円ずつが、各相続人の税額となります。

【5】しかしながら、配偶者については配偶者控除という税額控除制度がありますので、この制度を利用すると、妻の納税額はゼロとなります。
したがいまして、最終的には、子A、子Bが、それぞれ2,466万円ずつの相続税を納めることとなります。

Q
相続のことで身内と争いたくない。
A

相続は、しばしば「争続」と呼ばれるほど、身内による争いの火種になりやすいものです。
一見、仲が良さそうに見えた兄弟が、相続をきっかけに完全に仲違いしてしまい、絶縁状態になってしまうというケースも珍しくありません。

「争続」の本質的な原因は、相続人がそれまで感じていた不公平感であり、それを遺産分割によって調整しようとするから困ってしまいます。

「自分ばかりが介護させられた」
「同居して面倒を見続けた」
「兄ちゃんは何もしてない」
「弟は金を払っていただけ」・・・・

本当にキリがありません。
そして、このような「争続」は、具体的な遺産分割の方法が定められておらず、相続人の間の話し合いによる合意に委ねられることによって激化してしまいます。
遺産が多ければ多いなりに、少なければ少ないなりに、各相続人のわがままが錯綜し、収拾のつかない状態になってしまいます。

このため、相続のトラブルを最小限に抑えるために、民法では「遺言」という制度が設けられています。

「遺言」とは、自身が死亡した後の法的関係に、被相続人の生前の意思を反映させる手続きといえます。
「遺言」によって、あらかじめ遺産分割の具体的な方法が定められていれば、それを争いの種から除くことができますので、「争続」を回避するための方法として利用すべきでしょう。

「遺言」について、2つほど注意していただきたい点があります。

ひとつは、いくら「遺言」であったとしても、相続人に認められた最低限の取り分までを奪うことはできません。この最低限の取り分を「遺留分」といい、法定相続分の1/2と定められています。
このため、「遺留分」を侵害するような「遺言」を残すと、さらなる争いの種になりかねません。

もうひとつは、認知症の問題です。
重い認知症によって遺言能力を失ったものとされますと、それ以降に作成された「遺言」は無効とされてしまいます。

遺言は、必ずしも死の直前に作成する必要は無く、最も新しく作成されたものが有効とされますので、早い段階から「遺言」を準備しておけば、頭がハッキリしている限り、何度でも変更することができ、「遺言」の作成が間に合わないという事態を避けることができます。

なお、「相続」と認知症の問題については、この他にも様々なケースがありますので、心配な方は、一度、専門家にご相談されることをお勧めします。民事信託や成年後見人制度の利用など、適切なアドバイスを受けることができると思います。

Q
相続税を思いっきり節税したい。
A

言わずもがなですが、税金は安いに越したことはありません。誰しも、節税できるものなら節税したいことでしょう。
しかも、相続税には相続税ならではの問題もあります。

相続税は遺産に対する税金ですから、遺産の内容によっては納税に苦労することも少なくありません。例えば、遺産のほとんどが不動産で、預貯金が極めて少ない相続の場合、相続税を納めるための資金が不足し、結果的に不動産を手放さざるを得ないということにもなりかねません。

さて、相続税の節税については、いくつかの方向性があります。ひとつは遺産そのものを減らすという発想です。

これは、遺産を残すなと言っているわけではなく、遺産の評価額を下げるという考え方になります。

具体的には、

  • 未利用の不動産をなるべく貸し出す。
  • 生前贈与によって財産を次世代に移す。
  • 現預金を減らし、不動産を増やす。
  • 借金によって遺産総額を減殺する。
  • 自社株の評価額を可能な限り下げる。

などの方法があります。

もう一つの方法は、税法が設けている優遇措置を最大限に活用するという方法です。
前述したように、居住用の不動産には評価の特例がありました。同様に、家業に利用している不動産にも、同様の措置があり、相続税の課税によって、納税者の生活を脅かすことのないように配慮しています。

これらの優遇措置を活用するためには、様々な要件を満たすように工夫をしながら相続手続を進める必要がありますので注意しなければなりません。

これだけ聞くと、多少バカバカしい感じもしますが、節税の基本は、こういうことになるのです。
もちろん、やみくもに遺産を減らそうとすれば、他の面でマイナスの効果もあります。借金を増やせばいいというものでもありませんし、不動産を買い漁れということでもありません。自社株を減らしたいがあまり、赤字決算を続ければ、金融機関も黙ってないでしょう。

そんなわけで、これらの諸施策を無理なく組み合わせることで、実際の節税対策は行われます。これらは、まさにケース・バイ・ケース、オーダーメイドの一品料理となり、税理士の腕の見せ所となります。

Q
相続の手続きがよくわからない。
A

相続というものは、何度も繰り返し経験するようなものではありませんし、若い間に経験しておくというわけにも行きませんので、相続手続のことで不安を感じるのも無理のない話です。

順を追って説明しましょう。

相続発生から7日以内の手続き

【1】死亡届の提出

区市町村役場に所定の死亡届を提出します。死亡診断書(または死体検案書)、届出人の印鑑と身分証明書を忘れずに持参してください。

【2】火葬の許可申請

死亡届を提出する際には、同時に火埋葬許可申請書を提出し、許可証を交付してもらいましょう。

【3】お通夜、葬儀、初七日法要

お近くの葬儀社にご相談ください。最近は、初七日法要を一緒に行うのが一般的となっています。

3か月以内に行う手続き

【4】四十九日法要

一般的には納骨と合わせて行われる仏事です。本位牌の準備もしておきましょう。

【5】遺言書の確認

遺言書がある場合には、その内容を確認します。遺言書は、その種類によって開封の方法に決まりがありますので、専門家に相談してください。

【6】法定相続人の確定

被相続人(故人)の出生から死亡までの連続した戸籍謄本、及び相続人全員の戸籍謄本を収集して、法定相続人を確定します。
隠し子のような意外な法定相続人がいたり、普段、兄弟として接していたにもかかわらず相続権が無いというケース(配偶者の連れ子など)もありますので慎重を期しましょう。

【7】相続財産の調査

相続財産が確定しなければ遺産分割もままなりません。なかなか面倒な作業ですが根気よく取り組んでください。

  • 取引のあった金融機関(銀行や証券会社)から残高証明をもらいましょう。
  • 不動産の権利書を探し、それぞれ登記簿謄本を入手しましょう。
  • 自動車、貴金属など価値のある動産も相続財産になります。家財を整理する際に確認してください。

なお、生命保険があった場合には、受取人による保険金の受給手続きも行っておきましょう。

【8】遺産分割協議の開始

相続人が確定され、相続財産が確定された段階で、相続人による遺産分割協議を開始します。じっくり時間をかけてでも、相続人全員が納得のいく遺産分割案を作成しましょう。

【9】相続放棄、限定承認

相続放棄とは、相続人が被相続人から受け継ぐ遺産の全てを放棄することです。借金の方が多い場合や、家業の安定のために、事業承継者以外の相続人が遺産を引き継がないための手続きとして利
用されます。相続放棄を行ったとしても、基礎控除の額が変わることはありません。
一方、限定承認とは、相続人が遺産を相続する際に、相続財産を責任の限度として相続することをいいます。限定承認は、被相続人にいくらの借金があるかわからない場合に、負債を引き継ぎたくない
といった場合に利用されます。
いずれも、相続発生から3か月以内に手続きを行う必要があります。

4か月以内に行う手続き

【10】被相続人の準確定申告

個人の所得税は暦年を基準として申告することとされていますので、相続が発生した場合には、その年の1月1日から相続発生日までの期間について所得税の申告を行わなければなりません。これを準確定申告といい、相続発生から4か月以内が期限とされています。

10か月以内に行う手続き

【11】遺産分割協議書の作成

相続税の申告のためには、遺産分割協議書が作成されていなければなりませんので、それに間に合うように遺産分割協議を決着させ、正式な遺産分割協議書を作成しなければなりません。

【12】相続税申告、納税

相続税の申告・納税の期限は、相続開始日から10か月以内とされています。期限内に申告することができなければ、無申告加算税や延滞税といった罰金が課されますので、この期限は遵守してください。

【13】各種名義変更手続き

遺産分割協議書が整い、遺産の正式な相続人が決定したならば、不動産登記など各種の名義変更手続きを行いましょう。この手続きには、本来、期限があるわけではありませんが、後日のトラブルを避けるために、早めに完了させておきましょう。

注意

銀行に相続発生の連絡をしますと、預金口座が凍結され、遺産分割協議の確定など一定の手続きを行わなければ、預金の入出金を行うことができなくなります。このため、葬儀費用や病院への支払いなど必要な資金があれば、相続発生前に少し引き出して現金として確保しておくことをお勧めします。

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