税務Q&A

税務Q&A

Q
土地・建物の売買契約書に内訳が書いていない場合、どうすればいいですか?【消費税・法人税・所得税】
A

土地・建物を一括で売買する場合、建物のみが消費税の対象になります。また、法人税・消費税において土地・建物は固定資産として計上されますが、土地は減価償却されない非償却資産となる一方、建物は、減価償却費の対象となり、その取扱が大きく異なります。

(1)消費税
消費税法上、土地の売買は非課税ですが(消法6、別表一①)、建物の売買は課税の対象となる取引です(消法4Ⅰ)。
以下のような条項になっていた場合はどうでしょう。
 第○条(売買代金)
  本件土地及び本件建物の売買代金は、1億円(消費税込)とする。
この条項では、土地・建物の代金総額1億円が記載されているだけで、その内訳は不明ですが、先ほど「法務の視点」でお話したように、契約自体は有効です。
そのため、消費税を正しく計算するに当たっては、土地・建物の代金の額を合理的に按分します。この場合の按分の基準としては、次の例があげられます。
① 公示価格や不動産鑑定価額等、売買時の時価の比率による按分
② 相続税評価額や固定資産税評価額の比率による按分
たとえば、上記総額1億円の場合で、固定資産税評価額が土地5,600万円、建物1,400万円であったとすると、建物の代金の額は次のように計算されます。
売買代金総額(税込)1億円 × 建物評価額1,400万円 ÷ (土地評価額5,600万円 + 建物評価額1,400万円) =建物代金(税込)2,000万円
建物代金は消費税込で2,000万円ですので、消費税を8%として計算すると1,481,481円となります。

(2)法人税・所得税
事業などの業務のために用いられる建物や車などの資産は、一般的には時の経過等によってその価値が減っていきます。このような資産を減価償却資産といい、この価値の減少を減価償却費として損金処理します。
 一方、土地や骨とう品などのように時の経過により価値が減少しない資産は、非減価償却資産といわれます。こちらは価値が減少しないので損金にはなりません。
法人税・所得税でも土地・建物の取得価格の区分は同じように扱われますので、上記の例(上記総額1億円の場合で、固定資産税評価額が土地5,600万円、建物1,400万円)の場合でしたら、税込2,000万円を減価償却資産である建物として一定期間にわたってその価値を損金処理していき、残り8,000万円は減価償却されない土地として取り扱われます。

(3)プラスアルファ
以上を踏まえて、最後にプラスアルファです。
契約書が以下のような条項になっていた場合はどうでしょう。
 第○条(売買代金)
  売買代金は、本件土地9,800万円、本件建物200万円の合計1億円(消費税込)とする。
今回は、内訳も表示されていますので
建物代金(税込)200万円、土地代金9,800万円で処理をしてしまってもいいようにも思えます。
この場合の消費税は、148,148円です。
しかし、契約書において土地・建物の代金の内訳が記載されている場合でも、租税回避や脱税等を目的として、故意に実体と異なる価格を記載した場合は、記載された金額ではなく、内訳が記載されていない場合と同様に合理的に区分された金額とされます。
(国税不服審判所裁決平成20年5月8日裁決事例集75巻711頁参照) 消法6、4Ⅰ、別表一①、所法2、49

法務の視点
一生に何度も行わない高額の買い物をしたにもかかわらず、契約書に内訳すら記載されていない。これでは契約書として成り立っていないのではないかと思われるかもしれません。しかしながら、法的には、代金の内訳が記載されていなくても、契約の効力に変わりません。
もちろん、細かく記載されているに越したことはないのですが、契約の有効性(契約書の有効性)としては、代金については最低限合計額と支払方法が明確になっていればよいのです。

法令等【契約書と税金】
平成29年6月23日現在法令等

Q
法人が職場の近くに社宅を用意し、役員に対して貸与しようと考えています。この場合、リスクとして考えられることはありますか?【法人税・消費税・所得税】
A

I. 法人税・所得税

問題点
1. 役員から1か月当たり一定額の家賃(以下「賃貸料相当額」という。)より低い家賃を取っている場合には、賃貸料相当額と受取家賃との差額(過大分)が役員個人に対する給与として課税されます。
2. 役員に無償で貸す場合には、賃貸料相当額が給与として課税されます。
3. 現金で支給される住宅手当や入居者が直接契約している場合の家賃負担は、社宅の貸与とは認められないので、給与として課税されます。

解決方法
1. 役員等の福利厚生、業務上の必要性から社宅を貸与する場合には、当該社宅の賃貸借契約書の賃借人は法人である必要があります。
2. 役員から賃貸料相当額を受け取っていれば役員個人に対する給与として課税されません。
賃貸料相当額は、貸与する社宅の床面積により「小規模な社宅の場合(※1)」と「小規模な社宅以外(豪華社宅を除く)」、社会通念上一般に貸与されている社宅と認められない「豪華社宅(※2)」に区分し計算します。

(※1) 建物の耐用年数30年以下の場合には床面積が132㎡以下、
建物の耐用年数30年を超える場合には床面積が99㎡以下、
 (区分所有の建物は共用部分の床面積をあん分し、専用部分の床面積に加えたところで判定)である住宅
(※2) 床面積が240㎡を超えるもののうち、取得価額、支払賃貸料の額、内外装の状況等各種の要素を総合勘案して判定

① 小規模な社宅の場合
次の(イ)から(ハ)の合計額
(イ) その年度の建物の固定資産税の課税標準額×0.2%
(ロ) 12円×その建物の総床面積(㎡)/3.3(㎡)
(ハ) その年度の敷地の固定資産税の課税標準額×0.22%

② 小規模な社宅以外の場合
〈自社所有の社宅の場合〉
次の(イ)と(ハ)の合計額の12分の1が賃貸料相当額となります
(イ) その年度の建物の固定資産税の課税標準額×12%
ただし、建物の耐用年数が30年を超える場合には12%ではなく、10%を乗じる
(ロ) その年度の敷地の固定資産税の課税標準額×6%

〈他からの社宅の場合〉
会社が貸主に支払う家賃の50%の金額と、上記で算出した自社所有の社宅の場合の賃貸料相当額とのいずれか多い金額が賃貸料相当額となります

③ 豪華社宅の場合
時価(実勢価額)、通常支払うべき金額が賃貸料相当額となります

所法36、所基通36-15、36-40~42、平7・4課法8-1外

Ⅱ.消費税
貸主へ支払われる家賃と社員から徴収される賃料は、住宅の貸付けに該当し、いずれも非課税となります

消法6、消法別表第1十三、消令16の2、消基通6-13-1~9


法令等【特殊な給与、住宅の貸付け】
平成28年4月1日現在法令等

Q
催事等の開催期間が限られている現場で、その期間のみスタッフを増員したいという場合、派遣社員やマネキン等の日雇い労働者を活用することも多いのではないでしょうか。【消費税・法人税・所得税】
A

(1)人材派遣の場合
①消費税
派遣先企業が人材派遣会社へ支払う派遣料金は、事業として行う資産の譲渡等に該当し、消費税の課税対象となります(消費税法2・4条)。
一方、人材派遣会社が労働者へ支払う賃金は、事業として行う資産の譲渡等に該当しないため、不課税となります。

②法人税
派遣先企業が人材派遣会社へ支払う派遣料金については、損金経理を行います。
受領した側である人材派遣会社では、売上に当たるものとなるので、益金となります。
人材派遣会社から労働者へ支払われる賃金は、売上原価として処理します。付随して発生する社会保険料についても、同様です。

③所得税
人材派遣会社が源泉徴収義務者となりますので、労働者へ賃金を支払う際に、源泉を差し引く必要があります。源泉徴収税額については、日雇いとして支払われる場合は源泉徴収税額表の「日額表の丙欄」(※1)、2月を超えるときや10日や半月以上の単位で給与が支払われ、扶養控除等申告書の提出がある場合は「月額表の甲欄」、提出のない場合は「月額表の乙欄」を適用して税額の計算を行います。

※1 平成24年10月から施行された改正労働者派遣法にて、いわゆる「日雇い派遣」が原則禁止になったため、例外規定に該当する場合のみ。

(2)人材紹介の場合
①消費税
求人会社が労働者に対して支払う賃金については、人材派遣会社の場合と同様に不課税となりますが、職業紹介会社へ支払う紹介料は、事業として行う資産の譲渡等に該当するため、消費税の課税対象となります。

②法人税
求人会社が労働者に対して支払う賃金、職業紹介会社へ支払う紹介料ともに損金経理を行います。
紹介料を受領した側である職業紹介会社では、売上に当たるものとなるので、益金となります。

③所得税
源泉徴収義務者は求人会社となります。源泉徴収税額の計算については、上記1.③と同様です。


(3)プラスアルファ
求人会社が日雇い労働者へ直接ではなく、紹介会社を通じて給与を支払っている場合の源泉徴収義務者は誰になるでしょうか。
一見すると、人材派遣と同じような流れのようにも見えます。
しかし、この場合であっても、直接役務の提供を受け、その対価を支払うべきなのは求人会社であることに変わりはなく、人材紹介会社は単に求人会社からの給与を預かり、日雇い労働者に渡しているにすぎないと認められることから、求人会社が源泉徴収義務者となります。

法務の視点
人材派遣と人材紹介では、「労働者が紹介された職場へ赴き、役務(労働)を提供することによって、その対価として金銭を受け取る」という面では共通するものがありますが、その法律関係は全く異なるものとなっています。
人材派遣とは、人材派遣会社と派遣先企業との間で派遣契約を締結し、その契約に基づいて、人材派遣会社に登録をしている人の中から、人材を派遣するものです。派遣される労働者は、派遣会社との間で締結した雇用契約に基づき、派遣先に役務を提供します。派遣先企業は、人材派遣会社へ派遣料金を支払い、労働者に対しては、人材派遣会社から賃金が支払われることになります。
一方、人材紹介とは、職業紹介会社に登録をした人が、そこからの斡旋を受けて求人している会社に役務を提供するもので、求人会社との間で雇用契約を締結します。したがって、労働者に対する賃金は求人会社から支払われ、求人会社から職業紹介会社へは、紹介料を支払うことになります。

法令等【期間限定で労働者に働いてもらった場合の人件費の取り扱いについて】
平成29年6月30日現在法令等

Q
新しく業務用に自動車を購入した際の支払明細書の内訳には下記の費用が含まれていました。自動車の取得価額に含めなければいけないのはどれでしょうか? 【法人税・所得税】 ① 自動車取得税 ② 自動車重量税 ③ 自動車税 ④ 自動車損害賠償責任保険 ⑤ 検査登録費用 ⑥ 車庫証明費用 ⑦ カーステレオ ⑧ 納車費用
A

購入した償却資産の取得価額には、原則として、その資産の購入代価とその資産を事業に使用する際に直接要した費用が含まれます。また、引取運賃、荷役費、運送保険料、購入手数料、関税などの購入するために要した費用も含まれます。事例で上げられた費用は、法令等に基づき、下記のように判断されます。

②は毎年4月1日時点で自動車の「所有者」に対して、③は自動車検査証の交付をうける自動車に対して課せられる税金です。③は運行する自動車に強制的に付けられる保険料です。②③④は車両を「取得」というよりも「所有」することにより生じる事後費用と考えられます。したがって取得価額に算入する必要はありません。

①⑤⑥は車両取得に関連して支出するものですが、取得を原因として発生する一種の事後費用です。また、国税局では取得価額に含めないことができる費用として、自動車取得税、登録免許税その他登記または登録のために要する費用が上げています。
これは①は流通税であり、⑤⑥のような登録のために要した費用は第三者に対抗するためにかかる費用と考えられるためです。したがって取得価額に含めないことができる費用と判断でき算入するかは納税者の任意となっています。

⑦は車両への取り付けをもって、その機能を発揮します。同様にカーナビや常時搭載するスペアタイヤなどは車両と一体となっていると考えられるので、取得価額に算入します。

⑧の販売店から事業で使用する場所までの納入にかかる費用なので、車両購入のために要した付随費用にあたるため取得価額に算入します。

したがって、今回の事例では車両本体のほか、⑦カーステレオ・⑧納車費用を取得原価に含めなくてはいけません。

法令等【車両の取得原価】
法人税法基本通達7-3-2、7-3-3の2
法人税施行令54①
所得税法施行令126①

Q
法人がゴルフクラブの入会金、その他の費用を支出した場合の処理は、どうすればよいでしょうか。【消費税・法人税】
A

法人がゴルフクラブ、レジャークラブ(宿泊施設、体育施設、遊技施設、その他のレジャー施設を会員に利用させることを目的とするクラブをいう。)に対して支出した入会金の取扱いは、入会金が法人会員の場合には原則として資産計上、個人会員の場合は原則として給与として取り扱われます。

1.法人税(基通9-7-11、9-7-13の2)

(1)入会金の取扱い
①法人がゴルフクラブ等に法人会員として入会する場合には、入会金は資産に計上されます。
ただし、記名式の法人会員で特定の役員又は使用人が業務に無関係に利用すると認められるときは、特定の役員又は従業員に対する給与として取り扱われます。
②個人会員として入会する場合には、個人会員である特定の役員又は使用人に対する給与として取り扱われます。
ただし、無記名式の法人会員制度がないため個人会員として入会し、その入会金を法人が資産に計上した場合で、その入会が業務の遂行上必要であると認められる場合には、資産計上が認められることとなります。
③入会金の金額とは、入会のために支出する費用で、他人の会員権を購入した場合には、その購入代価のほか名義書換料が含まれることとなります。
④資産計上した入会金のその後の処理については、原則として償却することはできません。
ただし、脱退しても返還を受けられない場合や会員としての地位を他に譲渡した場合に生じた譲渡損失は、その脱退又は譲渡時に損金算入することができます。(基通9-7-12)
⑤レジャークラブの入会金の特例として、会員権としての有効期間があり、脱退に際して返還されることがない、かつ、給与とされる入会金でない場合には、繰延資産として有効期間に応じて償却することができます。(基通9-7-13の2)

(2)年会費等の取扱い(基通9-7-13、9-7-13の2)
①ゴルフクラブのプレー料金については、業務の遂行上必要とみとられる場合には交際費等となりますが、それ以外については利用した役員又は従業員の給与となります。
②年会費、年決めロッカー料その他の費用(名義書換料を含みます。)については、ゴルフクラブの入会金が資産計上されている場合には交際費等として、入会金が給与とされている場合には、給与として取り扱われます。
③レジャークラブの費用については、使途に応じて交際費等、福利交際費、給与として取り扱われます。

2.消費税

ゴルフ会員権は有価証券であり、有価証券の取引は消費税法上、非課税取引となっていますが、ゴルフ会員権は非課税の対象となる有価証券からは除外されています。(消費税法6条、別表第一、消費税施行令9条2項)
そのため
①事業者が会員権所業者からゴルフ会員権を購入した場合のその購入対価は、課税仕入に該当することとなります。
ただし、ゴルフクラブが発行した会員権をそのゴルフクラブから直接取得する行為は不課税取引に係るものとなるため、返還を要しない入会金などを除き課税仕入とはなりません。
②ゴルフのプレー代については、消費税の課税仕入に該当することとなりますが、ゴルフ場利用税については、利用者が納税義務者となっているものであるため、課税対象外となり課税仕入とすることができません。

法令等【入会金・会費等の取扱い】
平成29年6月23日現在法令等

Q
今期利益が大きく出る見込みなので、従業員へ期末に決算賞与を計上しようと思いますが、注意すべき点はありますか?【法人税】
A

決算月に支給を完了すれば問題なく損金算入ができますが、決算月の以降に支給をする場合には注意が必要です。

従業員給与・賞与については、役員給与と異なり恣意的な利益調整が行われる可能性が低いため、原則として全て損金算入できます。
ただし、従業員に対する期末の賞与のうち、決算期内に支給をせず未払いになっているものについては、利益調整に使用される可能性が高く、過去規制がない時期には実際に利益調整に使われてしまっていたため、以下の2つの場合以外の未払賞与については、損金計上が認められなくなっています。
(実際に支払った時期に損金算入は可能です)

(1)労働協約又は就業規則により定められる支給予定日が到来している賞与で、以下の要件を満たすもの
イ 使用人に支給額が通知されていること
ロ 支給予定日又は通知をした日の属する事業年度においてその支給額につき損金経理をしていること
ハ 支給予定日又は通知をした日の属する事業年度においてその支給額につき損金経理をしていること

(1)労働協約又は就業規則により定められる支給予定日が到来している賞与で、以下の要件を満たすもの

(2)以外の賞与で以下の要件を満たすもの
イ その支給額を、各人別に、かつ、同時期に支給を受けるすべての使用人に対して通知していること
ロ 通知をした金額をその通知をしたすべての使用人に対しその通知をした日の属する事業年度終了日の翌日から1月以内に支払っていること
ハ 通知をした日の属する事業年度においてその支給額につき経理をしていること

(2)以外の賞与で以下の要件を満たすもの

なお、「従業員への通知」については税務調査が入った際にその証明を求められる事を考えて書面で行い、通知された旨のサインをもらっておくのが安全です。
また、(2)のロ(1月以内の支払)については決算後1カ月以内に各人へ銀行振込をすれば、証拠として残せますが、現金で支給した場合や、現物で支給をした場合は各従業員から書面を取る等の対策をしておいた方が安全です。
また、通知した額と実際に支給した金額が1人でも異なると、損金計上ができなくなる為、その部分も注意してください。

法令等【決算賞与】
平成28年7月1日現在法令等

Q
役員報酬について、例年は決算から2カ月以内の定時株主総会で改定を行っていたのですが、今期は間に合わず、決算から3カ月以内に臨時株主総会で改定しました。税務上不利に取り扱われないでしょうか。【法人税】
A

問題ありません。変更前の役員給与も変更後の役員給与もすべて経費(損金算入)することができます。

法人税法において、給与は原則として税金計算上経費になる(損金算入)ですが、役員給与については、役員が給与の決定に関与し、恣意性介入の恐れがあるため、損金算入に「一定の制限」がされています。

今回のご質問では、その一定の制限のなかの「定期同額給与」という問題です。

定期同額給与というのは税法上以下のような要件を満たしたものです。
この要件が満たせれば恣意的に役員給与を変動させ、利益調整が行われる恐れが少ないため、損金算入が認められます。
(1)支給時期が1月以下の一定期間ごとである給与(定期給与)でその事業年度の各支給時期における支給額が同額であるもの

(1)支給時期が1月以下の一定期間ごとである給与(定期給与)でその事業年度の各支給時期における支給額が同額であるもの

(2)定期給与で次の給与改定がされた場合には、①その事業年度開始の日から給与改定後の最初の支給時期の前日までの間の各支給時期、及び②給与改定前の最後の支給時期の翌日からその事業年度終了の日までの間の各支給時期における支給額が同額であるもの
イ 通常改定
その事業年度開始の日の属する会計期間開始の日から3月を経過する日までにされた定期給与の額の改定

イ 通常改定 その事業年度開始の日の属する会計期間開始の日から3月を経過する日までにされた定期給与の額の改定

ロ その事業年度においてその内国法人の役員の職制上の地位の変更、その役員の職務の内容の重大な変更その他これらに類するやむを得ない事情(臨時改定事由)によりされたこれらの役員に係る定期給与の額の改定(イの改定を除く)

ロ その事業年度においてその内国法人の役員の職制上の地位の変更、その役員の職務の内容の重大な変更その他これらに類するやむを得ない事情(臨時改定事由)によりされたこれらの役員に係る定期給与の額の改定(イの改定を除く)

ハ 業績悪化改定事由
その事業年度においてその内国法人の経営の状況が著しく悪化したことその他これに類する理由(業績悪化改定事由)によりされた定期給与の額の改定(その定期給与の額を減額した改定に限り、イ及びロに掲げる改定を除く)

ハ 業績悪化改定事由 その事業年度においてその内国法人の経営の状況が著しく悪化したことその他これに類する理由(業績悪化改定事由)によりされた定期給与の額の改定(その定期給与の額を減額した改定に限り、イ及びロに掲げる改定を除く)

(3)継続的に供与される経済的利益
継続的に供与される経済的利益のうち、その供与される利益の額が毎月おおむね一定であるもの

(3)継続的に供与される経済的利益 継続的に供与される経済的利益のうち、その供与される利益の額が毎月おおむね一定であるもの

具体的に当てはめてみると、変更したのは毎月一定の時期に支払うことが決められている「定期給与」にあたります。
また、期中で改定されていますが、決算から3ケ月以内に行われていますので「通常改定」といえます(前述の(2)のイ)。
よって、税法が規定する「定期同額給与」にあたり、役員給与を恣意的に変動させ、利益調整を行うものではないとして、全額損金算入が認められるのです。

なお、今回のご質問では、役員報酬の改定についていつもは決算から2カ月以内に行う定時株主総会で決議しているのに、今年はそれに間に合わず、追加で臨時株主総会を開いて決議しています。
この場合でも定期同額給与と言えるのかが気になるところですが、税法上定時株主総会で決議しなければならないという規定はありませんので、前述の要件を満たしていれば決議の種別を問わず(取締役会決議事項となっていれば取締役会決議でも可)、定期同額給与と認められます。

法令等【定期同額給与】

Q
今回、弊社の製品の外交販売を行う特約店の専属セールスマン(個人事業主)の方に不幸があり、香典を包んだのですが、どのような取扱いになるのでしょうか?【法人税】
A

この場合、福利厚生費となり全額損金算入が可能です。

税務上は福利厚生費の明確な定義はありませんが、一般的には「会社が労働力の確保や質の向上を目的とし、従業員全体に対して公平に支給されるもの」とされています。
一般的には、従業員の身内に不幸があった場合の香典などがこれにあたり、同じ香典でも社員ではなく取引先へお渡しする場合には、広い意味で業務を円滑に進めるための費用として交際費となります。

それでは、今回のような自社の従業員でない専属セールスマン(個人事業主)に対する香典が福利厚生費となるのはなぜでしょうか。
これは、租税特別措置法関係通達61の4(1)-13 「特約店等のセールスマンのために支出する費用」において、「セールスマン又はその親族等の慶弔、禍福に際し一定の基準に従って交付する金品の費用」は交際費としては取り扱わなくてよいと規定しているからです。
外部のセールスマンは従業員ではないため、通常は「労働力の確保や質の向上」のためのものとはいえず、業務を円滑に進めるための費用として交際費とすべきなのだけれど、「専属」のセールスマンに対する香典は、従業員への香典とその目的も効果も同一なので、税務上も同じなので、税務上も同様に取り扱いましょうということです。

なお、この通達は従業員への香典と目的・効果ともに同一なので同様の取り扱いにしましょうと規定していますので、「専属」ではないセールスマン(他の商品も取り扱っている)への香典は通常どおり交際費になりますし、特約店の従業員に製造元の会社が香典を包んだ場合も、同じく交際費になります。(特約店の従業員であれば、その従業員に対する福利厚生は特約店が行うべきものであるため)

税務上、福利厚生費となるか交際費となるかは微妙な問題ですが、どちらになるかによって税務の取り扱いが全く違ってしまいます。(福利厚生費と認められれば、税金計算上費用(損金)になるが、交際費とされてしまうと原則損金にならない)

今まさに処理している費用・過去の処理した費用について気になることがありましたら気軽にご相談ください。

法令等【交際費】

Q
接待交際費(飲食)として税務申告する際に、時間や同行した方の名前は必要ですか?【法人税】
A

接待飲食費についての必要事項は国税庁に次のように記載されています。

接待飲食費については、交際費等のうち飲食その他これに類する行為のために要する費用(社内飲食費を除きます。)で、かつ、法人税法上で整理・保存が義務付けられている帳簿書類に、飲食費であることを明らかにするために次の事項を記載する必要があります(措法61の4、措規21の18の4、法規59、62、67)。
イ 飲食費に係る飲食等(飲食その他これに類する行為をいいます。以下同じです。)のあった年月日
ロ 飲食費に係る飲食等に参加した得意先、仕入先その他事業に関係のある者等の氏名又は名称及びその関係
ハ 飲食費の額並びにその飲食店、料理店等の名称及びその所在地
ニ その他飲食費であることを明らかにするために必要な事項
つまりは日付・参加者・飲食店・飲食内容、になります。

帳簿書類への記載事項として「飲食費に係る飲食等に参加した得意先、仕入先その他事業に関係のある者等の氏名又は名称及びその関係」があります。
これは、社内飲食費でないことを明らかにするためのものであり、原則として、飲食等を行った相手方である社外の得意先等に関する事項を「○○会社・□□部、△△◇◇(氏名)、卸売先」というようにして相手方の氏名や名称の全てを記載する必要があります。

ここで補足事項です。
①「飲食その他これに類する行為のために要する費用」とは?
飲食費の範囲は概ね以下の様な場合です。
・自社の従業員が得意先等を接待するための飲食費
・飲食するために支払うテーブルチャージ料やサービス料
・飲食するために支払う会場費等
・得意先の行事等へ差し入れのための弁当代(相応の時間内で飲食されるもの)
・飲食店等での飲食後、飲食店等から飲食物の持帰(お土産代)
・親会社または子会社の役員等やグループ内の他社の役員等を接待するための飲食費
・同業者同士の懇親会の飲食費の自社負担分
・出向者に対する飲食費で、出向者が出向先法人の立場で出席している場合の接待の飲食費。
上記に当てはまるものを接待飲食費とすることができます。

逆に該当しない例は以下の様な場合です。
・自社の役員や従業員等やその親族に対する飲食費(社内飲食費のため)
・ゴルフや観劇、旅行等の催事に際しての飲食費
・飲食店までの行きや帰りの送迎費用
・飲食物の詰め合わせを贈答する費用
これらについては接待飲食費とならないため、50%損金算入をすることができません。(中小法人で年800万円まで交際費の全額損金算入を選択している場合を除く)

②「社内飲食費」の範囲とは?
「社内飲食費」とは、飲食その他これに類する行為のために要する費用であって、専ら当該法人の役員若しくは従業員又はこれらの親族に対する接待等のために支出するものをいいます。
従って、自社の役員、従業員、及びこれらの者の親族に該当しない者に対する接待等に係る飲食費等であれば、社内飲食費には該当せず、50%損金算入の計算の対象となります。
なお、同一企業グループ内での飲食接待であっても、別法人の役員や従業員を対象とすれば、その接待に係る飲食費は、社内飲食費には該当しません。

具体的には社内での食事、歓送迎会、打ち上げ、飲み会などが社内交際費に入るものになります。ですがこれらの費用は福利厚生費などで計上することができます。福利厚生費とする場合は「特定の者だけを対象にしたのではなく、会社全体や部署全体などで行うイベントでの費用」であることが重要です。

③整理・保存が義務付けられている帳簿書類とは?
・総勘定元帳
・飲食店等から受け取った領収書、請求書等
などが該当します。これらには保存期間が設けており、税務上は総勘定元帳などが10年、領収書、請求書などが7年となっていますが、会社法上は10年と定められておりますので、作成日や受領日から10年は整理・保存が必要となっています。

法令等【接待交際費】
措法61の4、措規21の18の4、法規59、62、67

Q
高級車を仕事用に使っています。この高級車は経費にできないでしょうか?【法人税】
A

高級車であろうと、事業の用に供していたら減価償却費は損金に算入できる(平成7年10月12日裁決)。

しかしながら、心配しなくても経費になるんだでは済みません。
裁決になっているということは、税務調査で否認され、更正(処分)を受けたということです。

以下原文抜粋
「請求人は、本件車両については、代表取締役社長が通勤及び支店へ出張する際の交通手段として使用する旨主張するので、社長の出張旅費の支給実績を検討したところ、交通費は支給されていない事実が認められる。
原処分庁は、本件車両は事業の用に供された実績が明らかでなく、イタリア製の高級スポーツカーで一般社会常識から見ても個人的趣味の範囲内のものであり、同族会社ゆえにできる行為であると主張するが、そうであるとしても、現実に請求人の事業の用に使用されていることが推認できる以上は、原処分庁の主張を採用することはできず、また、代表取締役社長が請求人とは別に外国製の車両3台を個人的に所有しており、請求人の減価償却資産としていないことを併せ考えると、請求人が本件車両を資産として計上していることを不相当とする理由は認められず、本件車両に係る減価償却費等を損金の額から減算した原処分及び本件車両の取得費等を役員賞与と認定した原処分は、いずれも取り消すのが相当である。」

省略していますが、この裁決の中で争われた論点として、下記が挙げられます。

①出張旅費規定を作り、その通り運用すること
上記裁決の事案では、実際に出張旅費規定があり、日帰り出張(支店巡回)の場合は、交通費を支給しないという規定通りの運用がなされていました。
(宿泊料・日当・通行料は支給されている)

②出張(支店・営業所への巡回も含む)の際には運転記録を作成しておくこと
事業の用に供していることを明確に証明できる資料として運転記録は大事です。
税務調査ではよく、車の走行距離から事業に使った・使っていないを判断しますが、運転記録があれば、このようなグレーな争いを避けることが可能になります。

③プライベートで車を持っている場合は、明確に公私の区別をしておくこと
裁決事案における代表者は、プライベートで外車を3台所有しており、それらは経費に算入していないことから、経費に算入している車については、「事業の用に供したことが推認される」と判断されました。
プライベートで車を持っているからダメ、なのではなく、逆にプライベートで車を持っているからこそ、経費算入している車は事業用にため「だけ」に使用しているという論理です。
つまり「明確に区分している」ことが大事になるのです。

高級車というだけで、税務調査では否認指摘の対象になりがちです。
明確に区分しないで否認指摘に反論するのは非常に難くなります。

法令等【損金・費用(販売費、一般管理費、その他の費用)】
平成7年10月12日裁決

Q
所有している土地に会社の社屋を建てる場合、何か問題はありますか?【法人税】
A

ある会社が、過去に購入した遊休土地があります。その会社の代表者であるA氏の親族B氏がアパート経営を検討しており、A氏の土地の使用を申し出ました。A氏はこれを快諾し、もともと使っていない土地なので自由に使用することをも許可しました。

通常、建物の敷地にすることを目的とした土地の貸借を行う場合には、権利金(「借地権」)という土地の利用料が発生します。この権利金は、「土地の価格(時価)×借地権割合」で計算されます。
本来、この権利金をB氏から法人が収受しなければならず、仮に親族という理由から無償で差し出した場合であっても、権利金の授受があったことにされます。これを「権利金の認定課税」といいます。権利金の計算は、一般的には「時価×借地権割合」となります。この計算結果に認定課税が行われることになりますので、その認定課税による納税額はかなりの額となります。
しかも、これだけでは終わりません。B氏に対して、権利金相当額の「未収入金」が計上されることになります。ここでは「未収入金」としていますが、遅滞なく完済されなかった場合には、「未収入金」ではなく「貸付金」とその性質が変化し、この「貸付金」に対し、特例基準割合による利率(貸付けの資金を銀行などから借り入れている場合には、その借入利率を基準)で「認定利息」が計上されることになるので注意が必要です。

この問題点を回避するには、2点の方法があります。
(1)その土地の価格からみて相当の地代を収受している場合
法人税法上「相当の地代」(法令137、法基通13-1-2、13-1-8)という規定があり、法人が借地権の設定により、第3者に土地を利用させる場合、権利金の授受に代えて、相当の地代を受け取っている時には、「権利金の認定課税」が行われないとしております。この場合の「相当の地代」の額は、概ねその土地の時価相当額の年6%程度とされております。「土地の時価」については、次のいずれかの方法による価額でも良いとされる場合があります。
①その土地の近隣にある類似した土地の公示価格などから合理的に計算した金額
②その土地の相続税評価額又はその評価額の過去3年間の平均額

(2)土地の無償返還の届け出を行っている場合
法人が借地権の設定等により第3者に土地を利用させた場合で、その契約書において、将来借地人等がその土地を無償で返還することが定められている場合に、土地の無償返還の届け出という手続が出来ます。
この手続きを行っている場合には、権利金の認定課税は行われないこととなります。

法令等【無償返還の届け出】
平成29年6月27日現在法令等

Q
事業用資産の譲渡収入は、どのように申告しますか。【消費税】
A

消費税の課税事業者が、事業用資産を売却した場合、事業所得ではなく譲渡所得として申告します。消費税の申告書を作成するときは、事業用資産の売却収入も計算に含めなければなりません。消費税の課税対象となるのは、事業用資産のみです。事業の用に供していない自家用車等は、売却しても消費税の課税対象にはなりません。事業と家事使用の両方に使用する資産を売却した場合は、事業と家事使用分を合理的に区分して、事業部分に係る売却収入が消費税の課税対象となります。(消費税法基本通達10-1-19)

1.消費税
事業用資産の売却収入の消費税の計算において、税抜き処理を選択した場合の、仮受消費税等と仮払消費税等の清算等の調整は、その事業所得等の計算で行います。
簡易課税を選択している場合は、第4種事業に該当します。(消費税法基本通達13-2-9)

2.譲渡所得
課税事業者が事業用の資産を譲渡した場合、事業に付随して対価を得て行われる資産の譲渡、となりますので消費税が課税されます。この場合の消費税の経理処理は、事業所得等について選択している消費税等の経理処理と同じ経理処理により行います。

3.プラスアルファ
課税事業者が生活用資産を譲渡した場合、免税事業者や事業者でないものが譲渡した場合は、消費税は課税されません。

課税事業者が事業用資産を家事使用に転用した場合、事業を廃止しその事業用資産を家事使用とした場合も消費税は課税となります。(消費税法第4条4-1)

法令等【事業用資産の売却(課税事業者)】
平成28年4月1日現在法令等

Q
医療費が10万円以下でも所得税の優遇を受けられるようになったと聞いたのですが、どのような制度でしょうか。何か要件などがあるのですか。【所得税】
A

平成29年1月1日より、特定の医薬品購入に対する新しい税制「セルフメディケーション税制」が開始されました。「セルフメディケーション税制」は、健康診断などを受けている人が、一部の市販薬を購入した際に所得控除を受けられるようにしたものです。自己又は自己と生計を一にする配偶者その他の親族のために特定一般用医薬品等購入費を支払った場合には、一定の金額の所得控除(医療費控除)を受けることができるというもので、個人のQOL(生活の質)の改善や国の財政を圧迫している医療費の最適化を目的としています。

従来の医療費控除は「自分や家族(自己と生計を一にする配偶者その他の親族)がその年中に支払った医療費」から、高額療養費や生命保険の補てん分を差し引き、さらに10万円(総所得200万円未満の場合は、所得金額の5%)を引いた金額(最高200万円)が控除額となります。
それに対し、セルフメディケーション税制は「自分や家族(自己と生計を一にする配偶者その他の親族)が購入したOTC医薬品の合計金額」から、1万2000円を差し引いた金額(最高8万8000円)が控除額となります。

上記のように、セルフメディケーション税制は従来の医療費控除に比べ、差し引く金額が低く設定されています。よってこれまで医療費控除を受けられなかった人の中にも、今回よりセフルメディケーション税制を利用して医療費控除を受けられる場合があります。

例えば、課税所得額が400万円の場合、セルフメディケーション税制を利用するとどの位の節税になるでしょうか。最大控除額(1万8000円)を受けると仮定すると以下の通りとなります。

 所得税の減税額
  1万8,000円 × 20%(所得税率) = 3,600円
 住民税の減税額(※住民税率を10%と仮定します)
  1万8,000円 × 10%(住民税率) = 1,800円

以上の通り、合計5,400円の減税効果を得ることができます。

また、セルフメディケーション税制の適用を受けるためには要件を満たす必要があり、その内容は以下の通りです。

(1)適用を受けられる納税者
セルフメディケーション税制の適用を受けようとする年分に健康の保持増進及び疾病の予防への取組として「一定の取組」を行っている居住者が対象となります。具体的には、次の取組が、「一定の取組」に該当します。
1 保険者(健康保険組合、市町村国保等)が実施する健康診査【人間ドッグ、各種健(検)診等】
2 市町村が健康増進事業として行う健康診査【生活保護受給者等を対象とする健康診査】
3 予防接種【定期接種、インフルエンザワクチンの予防接種】
4 勤務先で実施する定期健康診断【事業主検診】
5 特定健康診査(いわゆるメタボ検診)、特定保健指導
6 市町村が健康増進事業として実施するがん検診
なお、申告される方と生計を一にする配偶者その他の親族が「一定の取組」を行っていることは、要件とされていません。

(2)特定一般用医薬品等購入費の範囲
特定一般用医薬品等購入費とは、医師によって処方される医薬品(医療用医薬品)から、ドラッグストアで購入できるOTC医薬品に転用された医薬品(スイッチOTC医薬品)の購入費をいいます。セルフメディケーション税制の対象とされるスイッチOTC医薬品の具体的な品目一覧は、厚生労働省ホームページに掲載の「対象品目一覧」をご覧ください。
なお、一部の対象医薬品については、その医薬品のパッケージにセルフメディケーション税制の対象である旨を示す識別マークが掲載されています。

さて、この(1)に記載されている「一定の取組」についてですが、これには「任意に受診した健康診査が含まれない」ことに留意しなければなりません。つまり、例えば保険者(健康保険組合、市町村国保等)が実施する人間ドックは「一定の取組」に該当しますが、「申請者が”任意”に受診した人間ドック(全額自己負担)」は対象外です。また、健康診断等の結果により再検査などと判定されて受けた検査も「一定の取組」には該当しません。
確定申告をされる方が(1)のいずれか1つの取組を行う亜必要があり、「領収書」または「結果通知書」の証明書類の提示が必要です。証明書には①氏名、②一定の取組を行った年、③保険者、事業者若しくは市町村の名称又は医療機関の名称若しくは医師の氏名の記載が必要となります。(所令262、措法41の17の2、措令26の27の2、措規19の10の2、平28厚生労働省告示第181号)

最後に、セルフメディケーション税制は従来の医療費控除との選択適用となります。つまり、どちらかを選択する必要があり、両方を合わせて受けることができません。(所法73、措法41の17の2)医療費控除の選択を各人で行う必要があります。

法令等【セルフメディケーション税制】
平成28年4月1日現在法令等

Q
会社で社員旅行に行ったのですが、給与課税にされてしまうのはなぜでしょうか。【所得税】
A

社員旅行代金を会社が負担しているということは、従業員がその分の経済的利益を得ているということになり、原則は給与課税となります。しかしながら、それが少額の場合において給与課税としなくても良いとなっています。

1.法人税・所得税
まず社員旅行に行くことで生じる経済的な利益が、社会通念に照らして妥当なものでないといけません。具体的な金額は定められていませんが、一般的には、会社負担が10万円程度のものまでというのが一つの目安になります。
期間としては、宿泊日数は4泊5日までが対象です。
なお、海外旅行の場合には、「現地での滞在日数が4泊5日以内」であるので、機中泊はカウントしません。
特定の人だけの旅行はNGで、少なくとも半数以上の人が参加することが必要です。
なお、工場や支店ごとに行う旅行は、それぞれの職場ごとの人数の50%以上が参加することでもよいので、必ずしも全社員で一律に実施なくても、部署単位などで実施したのであれば、その50%以上が参加すればOKです。
これらの点については、質問が多いのか、国税庁のタックスアンサーでも給与課税か損金かの例をわざわざ提示しています。

事例1
イ 旅行期間3泊4日
ロ 費用及び負担状況 旅行費用15万円(内使用者負担7万円)
ハ 参加割合100%
 旅行期間・参加割合の要件及び少額不追及の趣旨のいずれも満たすと認められることから原則として非課税

事例2
イ 旅行期間4泊5日
ロ 費用及び負担状況 旅行費用25万円(内使用者負担10万円)
ハ 参加割合100%
 旅行期間・参加割合の要件及び少額不追及の趣旨のいずれも満たすと認められることから原則として非課税

事例3
イ 旅行期間5泊6日
ロ 費用及び負担状況 旅行費用30万円(内使用者負担15万円)
ハ 参加割合50%
 旅行期間が5泊6日以上のものについては、その旅行は、社会通念上一般に行われている旅行とは認められないことから課税

ちなみに、過去の裁決例では現地2泊3日でほぼ全員が参加していた社員旅行であっても、会社負担が一人につき241,000円だったことをもって高額と判断、給与課税がされたものがあります。
国税不服審判所裁決例(平成22年12月17裁決)

2.プラスアルファ
以上を踏まえて、給与課税される旅行について。

不参加者に現金を支払う
上記の本来であれば給与課税をされない範囲の社員旅行であっても、バランスをとるために不参加者に金銭を支給すると社員旅行に参加した人まで給与課税がされます。
だったら、休みを潰して社員旅行なんて行かずにお金をもらったほうがいいと考える人が多いでしょうが、税務上は一人でも「自己都合での不参加者」が金銭をもらうと、参加者までその「不参加者がもらった金銭の額」について、お金はもらっていないのに給与課税がされるので注意が必要です。

成績優秀者へのご褒美旅行
営業コンテストでの成績優秀者やノルマ達成のご褒美として、特定の個人だけを旅行に行かせると、上記の参加者割合の要件を満たさないので、その旅費は、給与として課税がされます。
成績優秀者を対象として行う海外旅行に係る経済的利益(タックスアンサー参照)
ただ、部署全体でノルマを達成したご褒美として、その部署の全員が旅行に行ったのであれば、上記の要件を満たす限り給与課税はされないでしょう。
なお、永年勤続の表彰として旅行に招待する場合、概ね10年以上の勤務に対して社会通念上相当な金額であれば、給与課税はされません。
中には旅行券で支給をする場合もあるでしょうが、旅行券は換金が可能なので、そのまま渡し切りだと給与課税される可能性が高いです。
税務調査で指摘されても良いように、実際の旅行の行程表や領収証は提出してもらい、きちんと旅行券が消費されたことを明らかにしておく必要があります。

役員だけの慰安旅行
役員だけで行った慰安旅行というのは、その費用は、役員への給与とされます。
それも定時同額の支払いではないので、損金にもならず、税務調査で指摘されると法人税も所得税も負担する”往復ビンタ”になるのです。
じゃあ、「夫が社長、妻が従業員の会社で社員旅行」にいけば、「役員だけじゃないし、全員参加だし、給与課税はされない」かというと、そりゃ難しいだろうと。
通達でも「実質的に私的旅行と認められる旅行」は給与とされています。
せめて、現地で事業に関連した研修会にでも参加してくれれば、なんとか頑張る余地はあるとは思います。

法令等【給与課税】
国税不服審判所判決例(平成22年12月17裁決)

Q
私は日本に住んでいるのですが、海外の企業から仕事を依頼され、報酬を受けています。報酬にはその国の所得税に相当する税金が差し引かれて入金されています。この場合、すでに海外での納税が終わっているので、日本で納税しなくてよいのでしょうか。【所得税】
A

居住者が、外国に源泉のある所得に対して、その外国の法令により、わが国の所得税に相当する税を課された場合にも、わが国においてはその所得に対して所得税を課税するものとされているので、このような場合には、いわゆる国際二重課税の問題が生ずることになります。

所得税法では、この国際二重課税を排除するため、その外国で課された税額を、わが国のその者の所得税額から控除するいわゆる外国税額控除の制度または外国所得税額を必要経費に算入する制度が設けられています。
居住者に対しては、わが国で生じた所得と外国で生じた所得とにかかわらず、すべての所得について所得税を課税するものとされています(所法7条1項1号)。したがって、居住者である納税者が、外国で所得を得たときは、その外国に源泉のある所得に対してその外国の法令により、わが国の所得税に相当する税を課されるとともに、わが国においてもその所得に対し所得税を課税されるといういわゆる国際二重課税の問題が生ずることになります。
そこで、所得税法では、この国際二重課税を排除するため、その外国で課された税額を、わが国の所得税額から控除するいわゆる外国税額控除の制度、または外国所得税額を必要経費に算入する制度が設けられています(所法95条・46条)。
なお、控除される外国税額が、その者の配当控除などの外国税額控除以外の税額控除をした後の所得税額を超えるときは、確定申告書にその超える金額を記載すれば還付を受けることができるものとされています(所法138条)。
(注)課税された外国所得税額を税額控除するか必要経費に算入するかについては納税者の選択に任されています。

外国税額控除または還付は、その外国所得税の課税標準となった所得が生じた年分の国内所得に対する所得税にくい込まない範囲内で行うものとされています。
このため、外国税額控除の控除限度額は、次の算式により計算した金額となります。
〔算式〕
その年分の所得税の額×(その年分の国外所得総額÷その年分の所得総額)=外国税額控除限度額
なお、前年以前3年内の各年の外国税額控除限度額からそれぞれ各年において控除することができる金額を控除した残額(「繰越控除限度額」という。)があるときは、その繰越限度超過額を上記の外国税額控除限度額に加算した金額がその年の外国税額控除限度額となります。
また、前年以前3年内の各年の外国所得税額がその各年の外国税額控除限度額を超えるため控除することができなかつた部分の金額(「繰越外国所得税額」という。)がある場合は、その繰越外国所得税額は、その年分の外国税額控除限度額からその年の外国所得税額を控除した残額を限度として控除するものとされています。

法令等【外国税額控除】
所得税法95条1項
所得税法95条3項
所得税法施行令222条
所得税法施行令225条

Q
父が病気で倒れ入院しました。意識がない状態が続いており、保険会社に問い合わせたところ、長女の私が「指定代理請求人」になっているので保険金1,000万円を受け取ることが出来ると言われました。父が加入していた保険は、契約者・被保険者・受取人すべてが父親になっていました。保険請求手続きが完了し私の銀行口座に保険金1,000万円が振り込まれました。日頃から父の面倒を見ている母と妹にも保険金の一部を渡したいと考えています。この場合、税金はかかるのでしょうか。【贈与税・相続税】
A

保険金を受け取った時には、被保険者、保険料の負担者、保険金受取人によって課税される場合とされない場合、また課税される税金の種類も違ってきます。
親子関係でみると下記のようになります。

保険金を受け取った時には、被保険者、保険料の負担者、保険金受取人によって課税される場合とされない場合、また課税される税金の種類も違ってきます。親子関係でみると下記のようになります。

※一時所得の場合の課税所得金額の計算式
{(保険金 – 支払保険料)- 50万円} × 1/2 

1.指定代理請求人
指定代理請求人とは、被保険者である本人が請求することが出来ない特別な事情がある場合に契約者があらかじめ指定した代理人が被保険者に代わって保険金等を請求できる制度です。入院給付金、手術給付金、高度障害保険金、特定疾病保険金、リビング・ニーズ特約保険金、介護保険金などがあります。
被保険者と受取人が同一の場合の満期保険金や年金などを代理請求できる場合もあります。
では、請求代理人が受け取った保険金は税務上どのような扱いになるのでしょうか。

2.税務の視点
お父様の加入していた保険は契約者(保険料負担者)・被保険者・保険金受取人いずれもお父様ということですので、本来であれば本人が病気で入院し、保険会社に請求して受け取る保険金は非課税です。
今回のように契約者(保険料負担者)本人が請求することが出来ないため、指定代理請求人であるあなたが代わりに請求し保険金があなたの口座に振り込まれました。この場合も同じく受け取った保険金は非課税になります。
ただ、問題はその保険金の使い道です。
長女が受け取った保険金はあくまでも被保険者である父親に帰属する財産のため、父親の治療費や入院費、生活費等に使うことは問題ありませんが、長女が勝手に使うことはできません。お母様や妹さんに保険金の一部を渡してしまうと贈与税がかかる場合がありますので、気を付けなければなりません。

3.プラスアルファ
以上を踏まえて、最後にプラスアルファです。
被保険者である父親が亡くなった場合、生前に指定代理請求人によって請求された保険金が残っている場合は、被保険者の相続財産として相続税の対象となります。この場合、死亡保険金としてではなく、現金として財産が相続されることになるため、死亡保険金の非課税枠(500万円×法定相続人の数)の対象とはなりません。
保険金で受け取る場合と違い、非課税の枠がありませんので、相続税が多くかかってしまう場合があることになります。

法令等【保険金と税金】
(所得税法基本通達9-21、相法3,12,15)

Q
相続税の節税対策のため、養子縁組を勧められましたが、どのような節税効果があるのでしょうか?また、養子縁組をするうえでの注意点はありますか?【相続税法】
A

養子縁組をすることで、遺産から控除される「基礎控除」や、生命保険金や退職金の「非課税限度額」が増え、相続税の節税効果が得られます。

(1) 遺産に係る基礎控除額が増える
被相続人の死亡により遺産を取得した場合、その遺産から「遺産に係る基礎控除額」を控除した残額について相続税が課税されます。
「遺産に係る基礎控除額」は次の算式により計算されます。

3,000万円+600万円×法定相続人の数

(2) 生命保険金等の非課税枠が増える
被相続人の死亡により生命保険金を受け取った場合、その保険金は相続税の課税対象となりますが、一定の金額までは非課税とされています。
生命保険金の非課税限度額は次の算式により計算されます。

500万円×法定相続人の数

(3) 退職手当金等の非課税枠が増える
被相続人の死亡により、被相続人が務めていた会社から死亡退職金を受け取った場合、その死亡退職金は相続税の課税対象となりますが、一定の金額までは非課税とされています。
退職手当金等の非課税限度額は次の算式により計算されます。

500万円×法定相続人の数

(4) 法定相続人の数とは
上記の算式で用いられている法定相続人とは、民法上の相続人とは概念が異なります。民法上の相続人は、放棄者、喪失(欠格・廃除)者は除かれますが、相続税の計算で用いられる法定相続人では、相続の放棄があった場合には、その放棄がなかったものとした場合の相続人をいいます。また、法定相続人の数に含める養子の数も下記の制限があります。
①実子がある場合:養子の数は1人まで
②実子がない場合:養子の数は2人まで
これは、相続の放棄や、養子を増やすことで意図的に相続人を増やして上記の節税を無限に行う租税回避行為を防止するために設けられたものです。

養子縁組を利用することで法定相続人が増えるため、節税効果は得られますが、次のような注意が必要です。

(1) 孫養子の場合相続税額が2割加算される
相続又は遺贈により財産を取得した者が、被相続人の一親等の血族及び配偶者以外(孫、兄弟姉妹、子の配偶者や他人など)の場合、相続税額が2割加算されます。
しかし、直系卑属(孫、ひ孫など)が養子となった場合一親等の血族に該当するのですが、2割加算の対象となってしまします。孫養子が多額の財産を取得した場合には、得られる節税効果より、加算される税額が多くなる場合があるので注意が必要です。
なお、直系卑属以外(子の配偶者、兄弟の子どもなど)を養子にした場合には、2割加算の対象とはなりません。

(2) 遺産分割協議で揉める可能性がある
相続人(兄弟姉妹を除く。)には、遺言によっても侵し得ない「遺留分」という最低限度の遺産に対する取り分が確保されています。養子縁組を行うと、他の相続人の遺留分が減少するため、遺産分割で揉める可能性があります。
養子縁組をする場合には、遺産分割で揉めないため、将来、被相続人、相続人となる者間で事前に相談の上、進める必要があります。

(3) 節税目的による養子縁組は民法上認められるのか
これについては、平成29年1月31日に最高裁判所第三小法廷で、専ら相続税の節税のために養子縁組をする場合であっても、養子縁組は有効である旨の判決がなされました。

平成28(受)1255 養子縁組無効確認請求事件 ←クリックでPDFが表示されます。

民法では、「当事者間に縁組をする意思がないとき」には、養子縁組が無効になるとされています(民法802条)。今回の判決では、節税目的による養子縁組をする場合に、「当事者間に縁組をする意思がないとき」に該当するかが焦点となりました。

判決は、「相続税の節税のために養子縁組をすることは、このような節税効果を発生させることを動機として養子縁組をするものにほかならず、相続税の節税の動機と縁組をする意思とは、併存し得るものである。したがって、専ら相続税の節税のために養子縁組をする場合手であっても、直ちに当該養子縁組について民法802条1号にいう「当事者間に縁組をする意思がないとき」に当たるとすることはできない。」とされました。

相続税の節税目的のための養子縁組が一般的に行われている現状を考えますと、この判決により、節税目的の養子縁組が民法上有効とされたことは、実務にも大きな影響を与えるものと思われます。

法令等【養子縁組を利用した相続税の節税対策】
平成29年6月30日現在法令等

Q
資料せんは回答しないとダメですか?【国税通則法】
A

税務署からの「お尋ね」(資料せん)は「行政指導」に該当することから、その回答・返送については「任意」となっています。
※ただし税務調査の一環なのであれば、「質問検査権の行使」となりますので、その旨の記載があれば回答・返送「義務」があります(「国税通則法第7章の2(国税の調査)関係通達の制定について(法令解釈通達)」1-1〜1-2)。

また、行政手続法の規定により、行政指導に従わなくても納税者に不利益がないことが法的に担保されています(行政手続法第32条第2項)。

法令等【行税指導、質問検査権の行使】
平成28年6月28日現在法令等

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