創業サポート 特別コラム

近頃、独立開業が増えています

ここ数年、独立開業を志す機運が高まりを見せており、多くの創業者が誕生し、新しいスタートを切っています。
独立開業の増加原因には、どのようなものがあるのでしょうか?

1.終身雇用制度の崩壊と経営マインドの醸成

古くから日本型経営を支えてきた「終身雇用制度」が崩壊しつつあります。バブル経済崩壊からおよそ20年。日本企業の多くは長引く不況に苦しみ、ドラスティックなコスト・カットによって生き残ってきました。

そして、その間に人材に対する考え方も変わってきました。
派遣社員をはじめとする非正規労働者へのニーズが高まり、もはや、時間とコストをかけて「人を育てる」という余裕は無く、「使い勝手の良い即戦力」が求められるようになってきたのです。

さらに企業は、儲けを創り出せる社員を育成するために、「カンパニー制」や「社内ベンチャー制度」といった新しい管理制度を導入し、社員に対しても意識改革と経営スキルの向上を求めるようになり、その効果として経営マインドの高い人材が誕生するようになりました。

そのような延長線上に、自らの力を起業によって試そうとする人々が増えるのも、自然の成り行きと言えるでしょう。

2.新しい働き方の模索

また、その一方で、終身雇用制度の衰退は、会社に対する帰属意識やファミリー意識を急速に減退させました。会社に骨を埋める覚悟で働き続けるというオールド・スタイルの働き方は、時代とマッチしなくなってきたのかもしれません。

むしろ、そのような組織の歯車としての働き方に疑問を抱く若者が増え、仕事のオンとオフをはっきり区別しながら、自らのライフスタイルを大切に考えるようになってきました。彼らは、家族との時間や、趣味、学びといった自己実現のために使う時間やお金を重視する傾向にあり、起業によって、時間に縛られるサラリーマンとしての仕事のスタイルから抜け出そうとする傾向にあるのです。

3.国策としての創業支援

しかも、日本経済の再生のためには、新しい企業による産業の創出が不可欠とされ、国策としても、起業を振興することに力を入れています。

まず、平成18年に施行された「会社法」によって、会社設立の要件が圧倒的に緩和されました。それまでの最低資本金制度(株式会社では1,000万円以上)が撤廃され、資本金1円でも会社設立が可能となりましたし、それまでのように「取締役は3名以上、監査役は1名以上」という役員の設置義務も緩和され、「取締役1名のみ」の会社を設立することも可能となりました。

さらに、新しい組織形態である「LLC(合同会社)」「LLP(有限責任事業組合)」が登場し、自由な組織設計が可能となりました。もはや、会社設立は難しいものではなくなっているのです。

4.その他の創業支援

起業の振興政策は、会社法の制定のみに収まるものではありません。地方自治体を含めた行政の起業支援策も充実しており、創業資金融資制度や各種助成金・補助金事業によって、起業のための資金調達も便利になっています。

また、昨年より始まった「経営革新等支援機関」による創業支援サービスからも目が離せませんし、民間団体も含めた創業支援は充実の一途を辿り、資金調達のみならず、販路拡大、ビジネス・マッチングについても多くの機会を提供し、起業家のスムーズなテイク・オフを手助けしています。

独立開業の前に立ちはだかる壁

そうは言うものの、全てを自己責任として受け入れることとなるのが独立開業。
目の前には大きな壁も立ちはだかります。

1.事業失敗のリスク

サラリーマンであれば、会社から与えられた仕事を忠実にこなしているだけで、あらかじめ約束された給料を受け取ることができます。勤め先が大きな会社であればあるほど、勤め先の倒産によって職を失うという恐れも少ないでしょうし、それほど簡単に解雇されるということも無いでしょう。

もちろん、可能性という意味では、大企業であっても破綻のリスクはありますが、独立開業の場合とは比べ物になりません。

独立開業の場合、事業に失敗するというリスクは極めて高いものと考えられ、その場合は、職を失って生活費を稼ぐことができなくなるだけでなく、場合によっては、大きな借財を抱えるという恐れもあります。

2.資金調達の難しさ

以前から言われていることですが、独立開業したばかりの事業に、お金を貸すところは、それほど多くはありません。
融資の審査においては、それまでの事業の実績が大きな判断材料になるわけですが、独立開業したばかりの事業は、過去の実績という最重要な判断材料を欠くこととなります。

しかも、オフィスからパソコンまで、ありとあらゆるものを自身で用意しなければなりませんので、初期投資は想像以上に大きなものとなります。オフィスを借りるだけでも、保証金などのまとまったお金が必要になりますし、事業が軌道に乗るまでの期間を食いつなぐためにも、それなりの蓄えが無ければ不安です。

3.サラリーマン時代とのギャップ

独立開業をして間もなく厳しい現実を突きつけられることもあります。それまでの取引先から、突然、相手にされなくなったり、会社員時代の人脈が思いのほか役に立たないというケースも少なくありません。所詮、名刺の力で商売ができていただけということも少なくないのです。

また、新設法人なんてものは生まれたての赤ん坊と一緒で、何から何まで面倒を見てやらないと、何もできません。それまで総務部がやってくれていたこと、経理部がやってくれていたこと、今までにやったこともないありとあらゆる仕事を自分ひとりでやらなければ埒が明きません。

そして、そんなに大変な仕事をこなさなきゃならないと言うのに、約束された収入というものも期待できません。事業で成功しなければ、明日のご飯もままならないのです。
そのような苦労を味わうと、サラリーマン時代がどれほど楽チンだったか、思い知らされてしまいます。

4.ファーストペイの原理

サラリーマンと事業家では、考え方に大きな違いがあるようですが、その中でも、一番の違いは、「先行投資」という考え方です。
と言いますのも、事業においては、「まず先にお金を使う」というケースがほとんどで、サラリーマンのように、受け取った給料の使い方を考えるというのとは、かなり違います。

例えば、喫茶店を始めようと思ったら、店舗を借り、内装を施し、什器や食器を揃え、コーヒー豆やら紅茶やら材料を整えなければなりません。この準備作業の間、お金は出ていく一方で、お店をオープンするまでは、お金なんかちっとも入って来やしません。お店がオープンした後でも、材料は常に先行して買っていかなければなりません。常に、お金を使うことが先行するわけです。

つまり、事業というものは、まず最初の一手として、お金を使うことから始めるしかなく、その後も先行してお金を使っていくという宿命があります。そして、先にお金を使うという考え方が無ければ、商売を始めることも事業を発展させることもできないのです。このことを私どもは「ファーストペイの原理」と名づけています。

しかも、事業家というものは「儲けるために」お金を使うわけですから、サラリーマンのような単純な消費行動とは根本的に異なります。「儲けよう」と思うが余り、お金をどんどん使ってしまいます。

そして、この「ファーストペイの原理」に従うままに、自分の有り金を全部ビジネスにつぎ込んでしまい、さらに借金までして先行投資を行なうわけですが、その結果、思惑通りにビジネスが進まず、お金を使い果たしてしまうということが、当たり前のように起こります。

サラリーマンであれば、このようなお金の使い方はしなかったのに、独立開業したばかりに財産を根こそぎ失うということが起こるかもしれないのです。

それでも独立開業はパラダイス

それほど大変でリスキーな独立開業ですが、そんな苦労を吹き飛ばして、なお、お釣りが来るほどの楽しみがあることは間違いありません。

1.自由の謳歌

いったん独立開業してしまえば、もはや貴方に命令する人は一人もいません。自己責任が前提ではありますが、自分の好きなことだけをやっていても構わないのです。
やりたくない仕事を無理してやる必要もありません。出勤時間も自由に決めることができます。

また、サラリーマン時代には会社の方針などで、やりたくてもできなかった仕事が腐るほどあったでしょう。仕事はお金だけが目的ではありません。大きな稼ぎを生まないような仕事であったとしても、誰にも文句を言われることなく、自分のやりたい仕事に没頭できることは素晴らしいことではありませんか。

オフの時間の充実も、自分らしい働き方も、収入さえ安定すれば自由なのです。

2.ノー・ストレス

そうは言うものの、収入を安定させるまではサラリーマンの何倍も働かなければなりません。朝早くから、夜遅くまで、必死で働かなければならないのです。

しかし、独立開業してからの仕事というのは、全てが自分のためのものです。仕事に「やらされ感」は一切ありません。このため、サラリーマンの頃の何倍も仕事をしたとしても疲れるということがありません。「全て自分のため」と思うと、どれだけ働いても、全く辛いと思わなくなるから不思議です。

上司からのくだらない命令も、社内のわずらわしい人間関係も、独立開業した貴方には無関係です。独立開業して初めて、サラリーマン時代にどれほどのストレスを抱えながら仕事をしていたかということを思い知ることでしょう。

3.収入アップ

独立開業を目指す方の多くが、事業の成功によって、サラリーマン時代には手に入れることができなかった莫大な収入を得ることを夢見ていることでしょう。もちろん、起業家の成功は、サラリーマンの比ではありません。

仮に、そこまでの成功が手に入らなかったとしても、事業が軌道に乗りさえすれば、収入の面では豊かになることが多いです。

例えば、サラリーマン時代には、取引先との人間関係維持のために、自腹で接待したり、ゴルフに付き合わされたり、何かと出費が耐えなかったかもしれません。
ところが、独立開業後は、これらの出費は事業に関連している限り「経費」として取り扱うことができますので、税率を35%とすれば、その分が後から返金されることになります。言うなれば、世の中全て、いつでも、「35%OFFセールの真っ最中」と言っても過言ではありません。

さらに、様々な節税対策を駆使することによって、サラリーマンと比べると、可処分所得がさらに増えることとなるでしょう。

リスクを最小限にして、成功への道をひた走ろう

多くのリスクが待ち構える中、独立開業のスタートを切ろうとする貴方。リスクを最小限にコントロールしながら、成功への道をまっしぐらに進んでいただきたいのです。

1.事業失敗のリスクを抑えよう

事業失敗の原因は「無知」です。
独立開業してみれば、自分が知っていると思っていたことが、実のところは良くわかっていなかったということも少なくないものです。そして、多くの起業家が「自分は甘かった」と嘆いているようです。

しかしながら、十分な下調べと十分な準備を行い、十分な計画性を持ってスタートした事業は、貴方が思っているほど不確実なものではありません。新規事業の不確実性というのは、準備や計画が不十分だったという意味しかありません。

徹底された事前準備によって事業失敗のリスクは最小限に抑えることができるのです。

2.慣れない仕事は専門家を頼ろう

独立開業は、何から何まで自分でやらなければなりません。これまでに触ったことも無い仕事、慣れない仕事も、貴方の代わりにやってくれる人はいません。

いや、代わりにやってくれる人ならいます。 会社の設立手続きであれば司法書士、社会保険の手続きであれば社会保険労務士、税金のことなら税理士、法律のことなら弁護士…
貴方を助けてくれるのは、これら「士業」の人たちばかりではありません。

サラリーマン時代の貴方には考えも及ばなかったかもしれませんが、そのような専門家の助けによってビジネスを前進させた方が、圧倒的に合理的ですし、欲を言うならば、貴方のビジネスも、誰かの助けになるようなものでなくてはいけないのです。

3.独立開業を前提とした人脈作り

事業家同士のお付き合いというのは、サラリーマン時代の付き合いとは一味違います。もちろん、仕事を通じた友情関係を築くということは重要なポイントですが、事業家には事業家の都合があります。この相手の都合というものを理解できないままでは、会社を辞めたとたんに付き合いも終わってしまいかねません。
つまり、俗に言うWin-Winの関係を強力に築かなければならないのです。

例えば、友人の経営するレストランで、これまで色々なサービスを施されてきたかもしれません。友達なんだから、それはそれで良いのですが、自分も起業家の一人となったならば、考え方を変えた方がいいかもしれません。いつまでも、安く食べさせてもらったり、特別なサービスを要求するのではいけません。高いワインを注文してあげましょう。友人を大勢引き連れて食事に行ってあげましょう。もちろん、お支払いは正価で気持ちよく済ませましょう。要するに、友人のレストランが儲かるということを第一に考えてあげるんです。

相手の都合を理解し、相手の利益を考えて振舞えるようになれば、仕事をやり取りできる事業家同士の付き合いができるようになります。このような人脈こそが役に立つ人脈なのです。

4.サラリーマンの考え方を捨てよう

人付き合いについてもそうですが、サラリーマンと事業家では、考え方に大きな違いがあるようです。しかしながら、ひとたび独立開業した以上、腹を据えて事業家としての人生を歩むべきです。

独立開業したにも関わらず、真っ先に自分の給料のことを考えるようではいけません。自分の収入は、事業で稼ぎ出した収入から必要経費を差し引いた差額であり、残り物でしかありません。

ですから、事業を大きく発展させ、その「残り物」を増やすように考える必要があるのです。自分の給料の皮算用ばかりしていたのでは、事業を大きくすることはできません。

また、事業家は「ファーストペイの原理」に支配されてしまいます。このため、使ったお金を売上高を通じて回収するという考え方にシビアでなければ務まりません。この「回収意識」がしっかりしてさえいれば、安全な経営も可能なものとなるでしょう。

肝心なことは、「経営マインド」をしっかり持つということで、サラリーマンのような考え方をさっぱりと捨て去ることです。

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